「断熱等級5」は快適基準!HEAT20 G2って何?わかりやすく解説──そんなテーマで、これから家づくり・家の性能改善を考える人に向けて、モヤッとしがちな専門用語をスッキリ噛み砕いていきます。断熱等級やHEAT20は、ただの数値競争じゃなくて、家の中で「冬も夏もラクして快適に過ごせるか」を左右する超・実用的な指標。この記事では、UA値や地域区分の考え方から、窓・気密・日射のリアルなコツ、費用対効果まで、カジュアルにまるっと解説します。
この記事のポイント
- 「断熱等級5」は快適基準!HEAT20 G2って何?わかりやすく解説をテーマに、基本の用語と関係性が一気にわかる
- UA値=家全体の熱の逃げやすさ。数値が小さいほど高断熱
- HEAT20 G2は「冬の最低体感温度が概ね13℃(寒冷地は15℃)を下回らない」ことを目安にした快適寄りの性能水準
- 「断熱等級5」は国の基準で、目安としてZEHレベル。HEAT20 G2はさらに一歩踏み込んだ快適志向
- 快適さは断熱+窓・気密(C値)・日射の三本柱。コスパ良く上げるなら窓から!
「断熱等級5」は快適基準?まずは基礎から
断熱等級の仕組みと等級5の位置づけ
「断熱等級」は、国の省エネ基準に基づく住宅の断熱レベルの指標。以前は等級4が最高でしたが、いまは上位が拡張され、等級5・等級6・等級7までが整備されています。ざっくり言うと、
- 等級5:ZEH相当の断熱性能(エリアごとにUA値の基準が設定)
- 等級6:等級5よりさらに厳しい高断熱
- 等級7:国内でもトップクラスの超高断熱ゾーン
このなかで「断熱等級5」は快適基準!HEAT20 G2って何?わかりやすく解説というキーワードに絡めて言うなら、等級5は「とりあえず快適・省エネを目指すうえでの新しい起点」。ここから先、どれだけ踏み込むかは暮らし方と予算の相談、というイメージです。
UA値とη(イータ)の超ざっくり解説
断熱性能の話でよく出るのがUA値(外皮平均熱貫流率)。家の外皮(屋根・壁・床・窓など)からどれくらい熱が逃げるかの平均値で、小さいほど断熱が効いていると考えてOK。一方、η(イータ)は日射の入りやすさの指標で、冷房期(ηAC)・暖房期(ηAH)に分けて使うことがあります。夏は日射を抑えたい(ηを小さく)、冬は欲しい(ηを大きく)など、季節でやることが逆になるのがポイントです。
HEAT20とは?G2って何がすごいの
HEAT20は「快適寄り」の推奨水準
HEAT20は、有志の研究者・実務者が集まって「20年先を見据えた日本の高断熱住宅」を考える団体がまとめた推奨水準。国の省エネ基準と違って、体感温度や室温の下限といった、住みごこちに直結する指標を重視しているのが特徴です。グレードはG1・G2・G3の3段階。数値の良し悪しを競うというより、暮らしの質(温度ムラ・ヒートショック・結露のリスクなど)を下げるためのガイドラインと捉えるとしっくりきます。
G2のキモは「最低体感温度」を守ること
G2の目安は、冬に連続暖房をしなくても、家全体の最低体感温度が概ね13℃(寒冷地は15℃)を下回らないこと。ここでいう体感温度は、室温だけでなく壁・窓の表面温度も加味した「人が感じる暖かさ」。壁や窓が冷えていると、室温が同じでも寒く感じるのはこのためです。G2を満たすと、廊下やトイレ、脱衣所の温度ムラが小さくなり、ヒートショックの抑制や睡眠の質向上にも効いてきます。
G1/G2/G3のざっくり目安(考え方)
- G1:暖房を絞ってもおおむね実用的に暮らせるライン。ZEHより一歩高い断熱イメージ
- G2:寒冷時でも最低体感温度を確保。家中の温度差を小さくして日常がラク
- G3:国内トップレベル。蓄熱・日射制御を合わせると暖房負荷が大幅低減
重要なのは、G2は「質の高い日常」を狙う設計思想という点。単純なUA値の小ささ競争ではなく、窓・気密・日射とセットで「体感」を整えるのがG2です。
「断熱等級5」とHEAT20 G2の関係
似てるけど違う、基準の目的と評価軸
断熱等級(5〜7)は国の制度で、最低限の省エネ性能を段階的に引き上げる狙いが強い指標。対してHEAT20 G2は、住みごこち・健康性まで踏み込んだ推奨水準。どちらもUA値を使いますが、HEAT20は最低体感温度や温度ムラを重視している点が実務的に大きな違いです。
よくある誤解を整理
- 誤解1:「等級5=G2」ではありません。等級5は概ねZEHレベル、G2はそれより一段高い快適志向の目安です。
- 誤解2:「等級6/7=G2/G3と完全一致」でもありません。参考にされつつも地域・数値は完全一致ではなく、目的も微妙に異なります。
- 誤解3:UA値だけ良ければ快適になるわけではありません。窓・気密・日射制御・換気がセットで効きます。
地域区分とUA値の目安
日本は1〜8の地域区分で基準が変わります。ここでは理解のために、温暖地(例:6地域)での代表的な目安を言葉で整理しておきます(あくまで目安。設計法や想定条件で変動します)。
- 断熱等級5(ZEH相当):UA ≒ 0.60 W/m²K
- HEAT20 G1:UAの目安 ≒ 0.46 W/m²K
- HEAT20 G2:UAの目安 ≒ 0.34 W/m²K
- HEAT20 G3:UAの目安 ≒ 0.23 W/m²K
- 断熱等級6:(等級5より厳しい)地域によりUAの値が設定。温暖地ではおおむねG1近傍の水準
- 断熱等級7:(最上位)温暖地ではG2〜G3の間程度のUAが目安として用いられます
もう一歩踏み込むと、HEAT20はUA値だけでなく、窓の仕様・日射取得/遮蔽といった運用上の要素まで含めて「最低体感温度13℃を切らない」状態を狙うのがミソ。だから、G2は設計全体の“まとまり”が重要なんです。
快適さは断熱だけじゃない:3つの決定因子
1) 窓・ドアがカギ(外皮の弱点はまず窓)
家の熱の出入りは窓がダントツ。外壁にいくら高性能な断熱材を厚くしても、窓が弱いと体感は伸び悩みます。G2を目指すなら、
- 樹脂サッシ+Low-Eトリプルを主要開口部へ(少なくとも北・西の窓)
- 大開口はガラス性能+フレーム性能のバランスを確認(Uガラスだけで判断しない)
- 玄関ドアも断熱ドアを選定(U値のカタログ数値をチェック)
- 窓の位置・高さ・庇で夏の日射をカット、冬は取り込む設計を
窓の表面温度が上がると、同じ室温でも体感がグッと上がります。結露の抑制にも効くので、清潔性やメンテ性も向上します。
2) 気密(C値)と換気のチューニング
断熱とセットで語られるのが気密(C値:相当隙間面積)。C値が大きいと隙間風で熱が逃げ、設計通りの換気が働きません。G2クラスを狙うなら、
- C値の目安:新築で1.0以下、できれば0.5以下を目指す
- 換気計画:ダクトの圧損・メンテ性・給気位置を検討し、短絡や局所不均一を避ける
- 24時間換気は「止めない・詰まらせない」が鉄則(フィルター清掃の動線も大事)
気密が効くと、暖房の効きが安定して温度ムラが減り、最小限の暖房でG2が目指す体感に届きやすいです。
3) 日射取得と日射遮蔽(ηを操る)
同じUAでも、陽の取り込み方で快適さと光熱費は大きく変わります。
- 冬:南面の窓で日射取得。床や壁に蓄熱できる素材を組み合わせると夜の冷え込みがやわらぐ
- 夏:外付けブラインド・オーニング・深い庇・樹木で外側で遮蔽(カーテンだけは限界がある)
- 西日対策は遮熱性の高いガラス+外付けの遮蔽でダブルに効かせる
日射の扱いが上手い家は、冷暖房負荷がガクッと落ち、体感の質もアップ。HEAT20 G2の思想と非常に相性が良いです。
「断熱等級5」は快適基準!HEAT20 G2って何?わかりやすく解説:数値の読み解き
ここで、断熱等級5・HEAT20 G2の「実務での使い方」をもう少し深掘りします。
- 断熱等級5:建売や標準仕様の目安としてわかりやすい“快適の入口”。ZEHに必要な断熱ラインなので光熱費削減に直結しやすい
- HEAT20 G2:暮らしの質を一段上げる「温度ムラの小さい家」を狙う水準。最低体感温度の確保がキーフレーズ
- バランス設計:UA値を追うだけでなく、窓・気密・日射・換気で“体感”を底上げするのがG2的アプローチ
つまり、等級5は「基礎体力」、G2は「実戦力」。どこまでやるかは、居住地域・ライフスタイル・予算の三点で決めればOKです。
コストと効果のリアル
どこから手を付ける?費用対効果の高い順
- 窓のアップグレード:樹脂サッシ+Low-E複層(できればトリプル)にすると、体感温度と結露リスクが劇的改善
- 気密の確保:施工精度を上げるコストは意外と小さいのに、暖房効率と温度ムラに大きく効く
- 日射制御:外付けブラインドや庇は、夏の冷房負荷の削減に即効性あり
- 屋根・天井断熱の増し:コスパが良いことが多い。小屋裏断熱の厚みUPなど
- 床・基礎断熱:床冷えの体感改善に直結。湿気・白蟻対策とセットで
- 壁断熱:新築なら厚みを確保。リフォームは付加断熱や内断熱の検討を
新築とリノベでの戦略の違い
- 新築:最初から窓・気密・断熱を設計の標準仕様として組む。G2の思想は新築でこそ活きる
- リノベ:工事範囲に合わせて窓交換・内窓・外付け遮蔽から攻める。屋根・天井断熱の強化も狙い目
全館空調や床下エアコンのようなシステムを組む場合も、断熱・気密が整っていれば小さな設備で快適維持が可能。結果としてランニングコストが下がり、トータルでのコスパは上がります。
実務で役立つ小ワザ集
窓まわりの現場Tips
- サッシ種別は枠U値(Uf)までチェック。ガラスUだけで判断しない
- 大開口は気密パッキン・水密性も要確認。風が強い地域ほど効いてくる
- 内窓はコスパ良好。ただし日射取得の戦略と矛盾しない配置に
気密・断熱ディテール
- コンセントボックス周り・梁貫通部などは気密シート・テープ処理を丁寧に
- 設備配管の貫通はスリーブ+発泡断熱材で隙間を確実に埋める
- 基礎断熱は防蟻対策・防湿をセットで。地域の慣例に合わせる
日射と暮らし方
- 夏は外付けで遮る、冬は室内で蓄える。この切り替えで冷暖房負荷が大きく変わる
- ブラインドは羽角度を細かく調整して眩しさと熱を両方コントロール
- 観葉植物や落葉樹も微気候調整に有効。見た目と機能を両取り
健康・安全面のメリット
- 温度ムラ減少:寝室・水回り・廊下の寒さが緩和し、ヒートショックのリスクを低減
- 結露・カビ抑制:窓面温度の底上げで表面結露が発生しにくく、室内空気の清潔感UP
- 睡眠の質:室温・体感が安定すると寝つき・中途覚醒の改善が期待できる
- 音環境:高性能窓は遮音性も高め。外騒音が減って会話やリモートワークが快適
「断熱等級5」は快適基準!HEAT20 G2って何?わかりやすく解説:よくある質問
Q1. まずどの水準を目指せばいい?
温暖地で新築なら、等級5は最低ラインとして、可能ならG2相当を視野に。寒冷地や高地なら、G2以上を初期目標に置くと後悔が少ないです。予算に限りがあるなら、窓・気密優先が鉄板。
Q2. UA値ばかり下げても意味ない?
窓・気密・日射・換気の総合設計を外すと体感は伸びません。G2の思想はまさにここ。UA値の数字と体感温度の橋渡しを、窓と日射が担います。
Q3. 断熱等級5とHEAT20 G2、どっちが正しい?
どっちも正しいし用途が違います。等級5:制度的な“基礎体力”。G2:暮らしの質を高める“実戦力”。併用して考えるのがベストです。
Q4. リフォームでもG2は狙える?
建物の条件次第。外壁や構造の制約があるので新築ほど自由ではないですが、内窓+天井断熱+外付け遮蔽+気密改善で、体感的にはG2に近い暮らしを実現できるケースは多いです。
Q5. 光熱費はどれくらい下がる?
気候・世帯構成・生活パターンで大きく変わりますが、等級4→等級5への改善で冷暖房費の目に見える削減が期待できます。さらに窓と気密を詰めてG2寄りにすると、体感の満足度と光熱費の両方が伸びやすいです。
ケース別のおすすめ戦略
温暖地・共働き・在宅少なめ
- 等級5+窓強化(南は日射取得型、東西北は遮熱・トリプル)
- 外付け遮蔽で夏を効率的にコントロール。短時間の冷暖房で快適に
寒冷地・在宅多め・全館空調検討
- G2以上+C値0.5以下を狙って、負荷の小さい全館空調を
- 窓はトリプル標準、玄関・勝手口の断熱も抜かりなく
都市部マンション・結露に悩む
- 内窓+換気経路の見直しで表面温度と湿度のバランスを改善
- 西日には遮熱フィルム+外付けスクリーンの併用が効く
「断熱等級5」とHEAT20 G2を伝えるときの言い換えフレーズ
- 等級5:「ZEHの土台になる断熱ライン」
- G2:「家中どこでも“ひやっ”としない体感の家」
- G3:「暖房負荷がぐっと小さいトップエンド」
チェックリスト(検討時にこれだけは)
- UA値だけでなく、窓仕様(ガラス・枠)の数値を確認した?
- C値の実測はやってもらえる?目標値は?
- 夏の外付け遮蔽は計画に入っている?
- 地域区分に合ったUAの目安で話している?
- 暖房計画は負荷の小さい機器で回せる見込み?
- メンテしやすい換気計画になっている?
ミニ用語集(超ざっくり)
- UA値:家全体の熱の逃げやすさ。小さいほど高断熱
- η(イータ):日射の入りやすさ。夏は小さく、冬は活かす
- C値:すき間の量。小さいほど高気密
- ZEH:年間の一次エネルギー消費をおおむねゼロへ
まとめ:結局どこを目指すべき?
「断熱等級5」は快適基準!HEAT20 G2って何?わかりやすく解説というテーマの結論はシンプルです。まずは等級5を“快適の入口”として押さえ、可能ならHEAT20 G2の思想(最低体感温度の底上げ、温度ムラの縮小)まで踏み込むのが、暮らしの質と光熱費のバランスが最も良い選択肢。数値はあくまで手段で、実際の体感を決めるのは窓・気密・日射・換気の総合力です。地域に合ったUAの目安を使いながら、窓を強化し、気密を丁寧に確保し、夏冬の太陽を味方につける。これだけで日常の「寒い・暑い・だるい」がグッと減って、家が“休まる場所”に進化します。さあ、あなたの暮らしに合ったラインを見極めて、数字と体感の両立を叶えましょう。